海外旅行によく行くならクレジットカードの入院保険があった方がよい。国内にいるなら生命保険の方が扱いやすい。
海外旅行に際には病気や怪我、事故など思いもよらぬトラブルに見舞われることがあります。
海外は日本のような健康保険がなく、1治療だけでも高額の医療費を支払わなければなりません。
特に入院費は高くつくことが多く、アメリカは個室に1日入院で20万円以上かかります。
さらにICUだと100万円以上となるので、海外旅行の際には旅行保険の加入は必須といえるでしょう。
今回はクレジットカードに付帯している旅行保険をピックアップし、具体的な保険内容や入院保険について詳しく解説していきます。
クレジットカードに付いている入院保険について
多くのクレジットカードには海外旅行傷害保険が付帯しており、その中に入院した際の補償も含まれています。
万が一、海外で入院することになってしまうと高額の医療費を払わなければならないので、入院保険は必須であるといえます。
では、実際にクレジットカードに付帯している保険がどういう内容となっているのでしょうか。
クレジットカードに付帯している保険の種類と補償内容、入院保険について解説していきます。
クレジットカードに付帯する保険の種類
クレジットカードには主に海外旅行傷害保険・国内旅行傷害保険・紛失 盗難保険・ショッピング保険の4種類の保険が付帯しています。
1.海外旅行傷害保険
海外旅行傷害保険は、海外旅行中に発生したケガや病気による治療費用を補償する保険です。
具体的に補償される内容は以下の通りです。
傷害死亡 | 旅行中にケガで死亡した場合の補償 |
---|---|
後遺障害 | 旅行中にケガによって後遺症を負った場合の補償 |
傷害治療費用 | 旅行中で負った治療費を補償 |
疾病治療費用 | 旅行中に発生した病気の治療費用を補償 |
賠償責任 | 旅行中に誤ってけがを負わせる、ものを破損させ法律上の賠償責任を負った場合の補償 |
携行品損害 | 旅行中に携行していた身の回りの物が盗難に遭う、または破損した場合の補償 |
救援者費用 | 海外旅行中にケガや病気で入院して家族が現地まで行く費用を補償 |
病気や怪我の治療費用の補償以外にも、誤って他人にケガを負わせてしまった場合の賠償責任や、盗難に遭った場合の携行品損害などの補償もあります。
クレジットカードに海外旅行傷害保険が付帯していると万が一のトラブルの際に自分ですべて負担しなくてよいので安心です。
2.国内旅行傷害保険
クレジットカードの保険には国内旅行傷害保険という国内旅行向けの保険もあります。
海外旅行傷害保険よりは付帯しているカードは多くはありませんが、国内旅行でのケガや病気によって入院や通院が必要となった時に補償が適用となるため、国内旅行によく行く方は国内旅行傷害保険付帯のカードを持っていると便利でしょう。
では、国内旅行傷害保険の内容をみていきましょう。
傷害死亡 | 旅行中にケガで死亡した場合の補償 |
---|---|
後遺障害 | 旅行中にケガによって後遺症を負った場合の補償 |
入院日額 | 旅行中にケガや病気で入院した場合の補償 |
通院日額 | 旅行中にケガや病気で通院した場合の補償 |
手術費用 | 旅行中にケガや病気で手術した場合の補償 |
国内旅行傷害保険は海外旅行傷害保険と違って補償の種類が細かく分類されています。
特に入院や通院費用の補償は日額で提示されているので、万が一入院が必要となった時に自己負担がどれくらいになるのかわかりやすいでしょう。
また、クレジットカードによっては、国内旅行傷害保険に携行品損害や賠償責任、救援者費用の補償をオプションでつけられる場合があります。
3.紛失 盗難保険
多くのクレジットカードにはカード紛失・盗難補償が付帯しています。
カード紛失・盗難補償が付帯していると、万が一クレジットカードを第三者に不正利用されてしまった場合に損害金額を補償してもらうことができます。
ただし、自分に過失がある場合は補償対象外となることがあるので、まずはカードを失くしてしまった時点ですぐにカード会社のサポートデスクに連絡をいれることが大切です。
4.ショッピング保険
クレジットカードにはショッピング保険やお買い物あんしん保険が付帯しています。
ショッピング保険は、クレジットカードで購入した商品が万が一破損または盗難に遭ってしまった場合に購入代金が補償がされるという内容となっています。
- ショッピング保険の適用となる事柄
-
- 商品が破損・故障した
- 盗難に遭ってしまった
- ペットが商品を破壊・汚染
- 友人からもらったプレゼントが破損(友人がプレゼントをカード払いしている場合)
入院時に使えるのは2つの旅行保険
クレジットカードに付帯している保険で入院時に使えるのは、海外旅行傷害保険と国内旅行傷害保険です。
海外旅行傷害保険
入院時の適用補償 | 傷害治療費用・疾患治療費用 |
---|---|
保険対象費用 |
・入院費、入院できないやむをえない事情により宿泊施設の室内で治療した場合の室料 ・入院で必要になった国際電話料などの通信費 ・入院に必要な身の回り品の購入費 |
海外旅行傷害保険は入院日額ではなく傷害治療費用・疾病治療費用の中に入院保険が含まれます。
保険で支払われる費用は、入院費の他にも家族に連絡を入れた際の国際電話料や入院に必要な身の回りのものの購入費用も対象となります。
国内旅行傷害保険
入院時の適用補償 | 入院保険日額 |
---|---|
保険対象費用 | 入院費(1日毎) |
国内旅行傷害保険は入院や通院・手術などが細かく設定されており、入院の際には入院保険金日額が適用となります。
また、保険で支払われる費用は1日ごとの入院費のみです。
3枚のクレジットカードの入院保険内容を比較
次は、三井住友カード・JCB CARD W Plus L・楽天カードの3枚のクレジットカードをピックアップして、それぞれの入院保険の内容を比較していきますので、保険内容、補償金額にどれくらいの差があるのかチェックしてみましょう。
海外旅行傷害保険
三井住友カード・JCB CARD W Plus L・楽天カードのいずれも海外旅行傷害保険が付帯しており、補償額は以下のようになっています。
三井住友カード | JCB CARD W Plus L | 楽天カード | |
---|---|---|---|
傷害死亡 | 最高5,000万円 | 最高2,000万円 | 最高2,000万円 |
傷害治療費用 | 300万円 | 100万円 | 200万円 |
疾患治療費用 | 300万円 | 100万円 | 200万円 |
賠償責任 | 5,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 |
携行品損害 | 50万円 | 20万円 | 20万円 |
3枚のカードの中で、三井住友カードは補償額が全体的に高額でありますが、その分年会費が1,375円(税込)かかります。
JCB CARD W Plus Lと楽天カードは、補償額が低い分年会費が無料なので、年会費が高いと補償額も上がる傾向にあることがわかります。
では、万が一海外旅行中に入院することになった時にはどれくらいの補償を受けられるのか、入院保険に焦点を絞ってみていきましょう。
入院保険が含まれる補償 | 補償額 | |
---|---|---|
三井住友カード | 傷害治療費用・疾患治療費用 | 50万円 |
JCB CARD W Plus L | 傷害治療費用・疾患治療費用 | 100万円 |
楽天カード | 傷害治療費用・疾患治療費用 | 200万円 |
3枚のカードの入院保険が含まれる補償は「傷害治療費用」と「疾病治療費用」で同様ですが、補償金額はそれぞれ異なり、一番高額の補償額であるのが楽天カードです。
海外の入院費用は日本と違って高額であることが多く、アメリカは20万円以上、ヨーロッパ圏は10万円以上、タイなどのアジア圏は5万円前後の費用がかかります。
上記の3枚のカードは、いずれも50万円以上の補償額となっており、入院費用は保険でまかなえますが、治療費や診察代、薬剤費などもすべて含んだ補償額であり自己負担分が出る可能性が高いです。
心配な方は複数のクレジットカードの保険を合算するか、生命保険の旅行保険に加入しておくとよいでしょう。
国内旅行傷害保険
三井住友カード・JCB CARD W Plus L・楽天カードいずれも国内旅行傷害保険は付帯していません。
国内旅行傷害保険が付帯するカードランクは、三井住友カードはゴールドカード以上、楽天カードはプレミアムカード・ブラックカードとなります。
では、三井住友ゴールドカードと楽天プレミアムカードの国内旅行傷害保険の内容を比較してみましょう。
三井住友ゴールドカード | 楽天プレミアムカード | |
---|---|---|
死亡・後遺障害 | 最高5,000万円 | 最高5,000万円 |
入院保険金日額 | 5,000円 | 5,000円 |
通院保険金日額 | 2,000円 | 3,000円 |
手術保険金 | 最高20万円 | 最高50万円 |
三井住友ゴールドカードと楽天プレミアムカードの保険内容に大きな差はありませんが、楽天プレミアムカードの方が手術保険金の金額が高額です。
また、三井住友ゴールドカードの国内旅行傷害保険で補償される入院日額は5,000円で、楽天プレミアムカードも同様です。
日本国内の病院の平均的な1日の入院費用は10,000円~15,000円程度※であるので、クレジットカードの国内旅行傷害保険では約半額分を負担してもらうことができます。
※生命保険文化センター 令和元年 生活保障に関する調査調べ
国内旅行は生命保険の旅行保険の方がおすすめ
クレジットカード付帯の国内旅行傷害保険は、カードランクが高いカードに付帯していることが多い傾向にあることから、一般カードを利用している方は生命保険の国内旅行保険を利用する方がよいでしょう。
生命保険の国内旅行保険 例 三井住友海上
三井住友海上の国内旅行傷害保険の中には入院保険金が含まれています。保険金の支払い対象は国内旅行中のケガによる入院で、入院保険金日額×入院日数が支払われます。
例えば、三井住友海上の国内旅行傷害保険の毎月500円のプランに入ると、入院保険金日額は8,000円であるので、一泊入院で8,000円分を三井住友海上が負担してくれます。
クレジットカードの国内旅行傷害保険では日額5,000円ほどなので、生命保険の方が自己負担額が少なくて済みます。
クレジットカード付帯の入院保険を使う手順
海外旅行中にケガや病気をして入院した際に、保険の申請手順を把握していないと、必要書類をもらい忘れて申請ができなくなってしまうこともあります。
次は、実際にクレジットカード付帯の入院保険を使う際の手順と必要書類について確認していきましょう。
海外旅行傷害保険を申請する手順
海外旅行中に万が一ケガや病気で入院した際には、まずは現地で治療費と入院費を立て替えるか、医療費キャッシュレスサービスを依頼し、帰国後に保険金を請求して精算となります。
医療キャッシュレスサービスとは
医療キャッシュレスサービスは、キャッシュレス提携病院であれば保険契約証または保険証券、パスポートのいずれかを窓口で提示することで、キャッシュレスで診療を受けることができるサービスです。
保険の請求に必要な書類
- 現地:医師の診断書・治療費の明細書・領収書・事故証明書
- 国内:保険金請求書・パスポートのコピー・カード利用を証明する書類
国内旅行傷害保険を申請する手順(ケガの場合)
国内旅行中にケガをして入院をした場合は、病院で費用を一時立て替えとなり、領収書・診断書を発行してもらいます。
保険の請求に必要書類
保険金請求書・治療状況申告書・同意書・診断書・事故証明書・委任状・印鑑証明書・カード利用を証明する書類
クレジットカード付帯の入院保険の利用は使う場所と必要書類など細かく手間がかかる
クレジットカードに付帯している入院保険は万が一のケガや病気などの時に助かる保険ですが、保険利用に必要な書類などが細かくて手間がかかることが一つのネックです。
そのため、実際に保険を利用するとなった時に困ることがないように、ここでクレジットカード付帯の入院保険を利用する際の注意点を確認しておきましょう。
クレジットカード付帯の入院保険の注意点
クレジットカード付帯の入院保険は使えないわけではありませんが、申請するにも提出物が多くて細かく手間がかかります。
特に海外旅行傷害保険の場合は、現地でもらう書類に不備があれば申請ができない場合があるので注意が必要です。
また、自分で用意する書類に関しては帰国後に準備すれば間に合うので現地での書類確認だけ漏れがないようにしましょう。
まとめ
クレジットカードには海外旅行傷害保険や国内旅行傷害保険などが付帯しており、旅行の際などに万が一病気や怪我を負ってしまっても保険が利用できるので安心です。
しかし、海外の医療費は日本の何倍も高額であることが多く、クレジットカードの旅行保険だけではまかなえない場合もあります。
そのようなリスクを考えると、生命保険の旅行保険に入っておく、または複数のクレジットカードの保険を合算するなどで対処することも選択肢にいれておく必要があるでしょう。
ただし、国内で生命保険に加入し十分な入院保険を確保できているなら、入院保険が付帯したクレジットカードを使うメリットはさほどありません。
また、海外に行くことが多いならクレジットカードの海外旅行傷害保険が手厚い方が良いですが、年に1回行くか行かないか程度なら海外旅行に行く前に都度海外旅行保険に加入する方が簡単なので、クレジットカードに入院保険を求めてなくてもよいでしょう。
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