
総量規制とは、年収の3分の1以上のお金を貸金業者から借りてはならないという法律です。
カードローンなどで過度な借り入れをして返済できなくなる人が後を絶たなかったため、2006年に制定されました。
その結果として、破産などの金融事故の件数は大きく減少しましたが、代わりに審査に通りにくくなる弊害が発生したのです。
そこで気になるのは、総量規制対象外となるカードローンの存在です。
実は、総量規制対象外となるカードローンはあります。
本記事では、総量規制の対象外となるカードローンの紹介やお金を借りる際の重要なポイントなどについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
総量規制対象外のカードローンってあるの?
総量規制は、「改正貸金業法第13条の2」で定められたルールです。
貸金業法という名前からもわかる通り、消費者金融などの貸金業を行う業者はが対象となっています。
しかし、ローンサービスを提供する全ての金融機関が貸金業の対象というわけではありません。
総量規制の対象となるサービス
まず、貸金業法の対象となるサービスを紹介します。
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代表的なところで言えば、消費者金融や信販会社による貸付は総量規制の対象です。
また、クレジットカード会社のカードローンとキャッシングも総量規制の対象なので、年収の3分の1を超える金額は利用できません。
ただし、クレジットカードには総量規制の対象外となる部分もあります。
クレジットカードについては、詳しくは次の項目で解説します。
総量規制の対象外となるサービス
次に、総量規制の対象外となるサービスを紹介します。
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同じカードローンでも銀行は総量規制の対象外なので、年収の3分の1を超える金額でも融資をしてもらえます。
また、信用組合・信用金庫・労働金庫・JAバンクなども総量規制の対象外です。
クレジットカードは、カードローンとキャッシングだけが総量規制の対象となっており、ショッピング枠は「割賦販売法」の適用により対象外となります。
リボ払いや分割払いも、総量規制の対象外です。
他にも以下のようなローン商品は、基本的に総量規制の対象外となっています。
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ただし、中小の消費者金融が提供するカーローンやビジネスローンは総量規制の対象です。
基本的には、銀行が提供しているローンは総量規制の対象外だと覚えておいてください。
また、総量規制の対象外であっても、必ずしも年収の3分の1を超える金額を融資してもらえるとは限りません。
銀行でも自主規制を設けている
実は銀行でも、2017年10月19日から自主的な貸付上限を導入しました。
そもそも総量規制とは、過度な借り入れによる破産など深刻な事態を防ぐための法律です。
そして、負担がない程度の借入額として年収の3分の1というルールが設けられました。
お金を借りた先が銀行であっても消費者金融であっても、年収の3分の1を超える金額の借り入れは負担が大きいことに変わりありません。
実際、総量規制の制定直後は銀行カードローンから過度な借り入れをする人が増えて、自己破産者が急増しました。
この事態を重く見た日本弁護士協会は、銀行などによる過剰貸付の防止を求める意見書を金融庁に提出したのです。
これによって「全銀行協会」から銀行に対して、過度な貸し付けを制限するよう通告されました。
現在、銀行でも年収の3分の1程度を目安に貸し付けをしているところが多く、総量規制の対象外と言っても、収入に対して極端に多い融資は受けられないようになっています。
総量規制以上の金額をカードローンで借りるのに重要なポイント
総量規制を超える金額をカードローンで借りるには、いくつか重要なポイントがあります。
ここでは、年収の1/3よりも多い額をカードローンで借りるために大切なポイントを紹介します。
借入先は銀行を選ぶ
1つ目のポイントは、借入先は銀行を選ぶことです。
カードローンと言えば消費者金融が最も有名ですが、総量規制の対象となっているため規制以上の金額は絶対に借りられません。
同じカードローンでも、総量規制の対象外となっているのは銀行なので、まずは銀行系のカードローンに絞って業者選びをする必要があります。
延滞しない
2つ目のポイントは、延滞しないことです。
延滞すると、その事実は信用情報に記録されます。
信用情報とは、ローンやクレジットカードなど信用取引における客観的な取引事実を記録した情報です。
その信用情報を一括で管理しているのが信用情報機関で、ローンの申し込みを受けた金融機関は情報の照会を行います。
延滞した事実も信用情報機関に登録されて、事故情報として扱われます。
事故情報が審査に与える影響 | |
個人再生・自己破産・任意整理などの債務整理 | 審査通過不可能 |
カードローンやクレジットカードの強制退会 | 審査通過不可能 |
クレジットやローンの滞納(一ヶ月以上) | 審査で不利になる |
他社借入がすでに4件以上ある | 審査で不利になる |
延滞すると審査に不利になって、総量規制以下の借入ですら審査に通らない可能性があります。
また、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理を行った記録がある場合は、その他の属性が問題なくても問答無用で審査に落とされます。
債務整理をした事実が信用情報機関に掲載される期間は、次の通りです。
債務整理の種類 | 登録期間 |
任意整理 | 完済から約5年 |
個人再生 | 約5~10年 |
自己破産 | 約5~10年 |
債務整理の経験がある方は、必ず登録機関が過ぎてから申し込みましょう。
そして、総量規制以上の金額を借り入れるには高い評価が必要なので、カードローンの利用では絶対に延滞しないようにしてください。
何度も完済して実績を積む
3つ目のポイントは、何度も完済して実績を積むことです。
カードローンの利用実績は信用情報に記録されて、将来ローンを組んだりクレジットカードを作ったりする際に役立てられます。
そのため、何度もカードローンを利用して滞りなく返済を繰り返せば、信用度はアップして総量規制以上の金額を借りられる可能性が高くなります。
総量規制以上の金額を借りたいなら、しっかりと利用実績を作るようにしましょう。
収入を安定させる
4つ目のポイントは、収入を安定させることです。
ほぼ全てのカードローンの審査基準に、「安定した収入が見込めること」という記載があります。
重要なポイントは、「安定した」という部分です。
ただ年収が多ければ良いというわけではなく、長期間にわたり一定の収入がある状態が重要となってきます。
例えば、昨年の年収は1,000万円で今年は100万円だと安定しているとみなされません。
反対に、年収は300万円でも3年間継続していれば安定していると判断されます。
大切なのは、将来も同レベルの年収があるかどうかなので、カードローンの申し込み時には必ず一定期間の安定した収入を確保してください。
一般的には、1年以上同じ仕事を続けていれば安定していると判断されます。
総量規制以上の金額となると、3年程度は継続した方が良いでしょう。
総量規制対象外&即日融資は、消費者金融のおまとめローンとクレジットカードのショッピング枠だけ
総量規制対象外となっているローンには、色々な種類があります。
しかし、総量規制対象外で即日の借り入れに対応したローンとなると、以下の2つくらいしかありません。
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おまとめローンとは
おまとめローンとは、複数の借入がある場合に利用できるサービスです。
複数の借入を1本化して返済額を減らしたり、返済の手間を軽くしたりできます。
例えば、既にA社とB社から以下のような条件で借り入れしていたとします。
A社 | B社 | C社(おまとめローン) |
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この時に、C社が提供するおまとめローンを利用するとします。
するとC社のおまとめローンは、A社とB社の借入額である20万円を融資してくれるので、それを使ってA社とB社の借り入れを完済します。
これによって、A社・B社からの借り入れはなくなり、金利はC社の年16.0%になりました。
返済も、C社に対してだけ行えばよいため手間がなくなります。
おまとめローンは総量規制対象外となっているため、総量規制以上の利用が可能です。
ただし、おまとめローンは返済専用のローンなので生活費などへの使用はできません。
あくまでも、利息の減額と返済状況の簡素化を目的としたサービスだと理解しておきましょう。
クレカのショッピング枠はキャッシング枠と共通なので注意
クレジットカードのショッピング枠は、総量規制対象外のため年収の3分の1以上の金額を利用できます。
しかも、特別な審査なしで融資を受けられるため、総量規制以上の金額を使うには最も現実的と言えます。
ただ、キャッシング枠とショッピング枠は共通なので、キャッシングを受けると利用できるショッピング枠は減ってしまいます。
画像:アイフル「キャッシングとはお金を借りること|利用方法や注意点を紹介」
このように、ショッピング枠が100万円に対して30万円のキャッシングをすると、ショッピング枠として使えるのは70万円に減ります。
キャッシング枠で総量規制以上の金額を利用したいなら、クレジットカードのショッピング枠は利用しない方が良いかもしれません。
闇金は総量規制対象外!でも絶対に借りちゃダメ
総量規制対象外ではなく、法律を無視して運営している闇金融なら、確かに年収の3分の1を超える金額でも貸してくれるでしょう。
しかし、闇金融は法律を無視して運営しているため、借り入れ額だけでなく金利などもルールに反した設定になっている可能性があります。
法外な金利に加えて強引な取り立てなども行っている場合もあるため、どんなにお金に困っても絶対に利用しないようにしてください。
ちなみに、日本貸金業協会の「貸金業相談・紛争解決センター」では、闇金のホームページのイメージ画像が掲載されています。
画像:日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター「ヤミ金・悪質業者被害の実例検索」
このように公式サイトがちゃんとしていても、闇金だったケースもあります。
名前を知らない金融業者は利用する前に、「日本貸金業協会会員番号」を確認し、登録があるか確認しましょう。
総量規制があると、確かに借り入れられる金額は少なくなります。
しかし、この法律は利用者を守るためのルールでもあるため、闇金などには手を出さず法律に乗っ取った範囲で借り入れるようにしてください。
ちなみに、闇金融からの借り入れはおまとめローンに入れることはできません。