葬儀費用が払えない!コラムのアイキャッチ画像

家族や親せきなど近しい誰かの葬儀を取り仕切ることは、人生において何度も起きることではありません。

そのため急にその立場に立った時、さまざまな準備や出費に驚くこともあるでしょう

葬儀は高額のものから比較的抑えた費用でできるものまで様々ありますが、このコラムでは大まかな葬儀費用と費用が払えない時の対策を解説します。

コロナ禍で葬儀の在り方にも変化

近所の方や仕事関係の方など、家族親せき以外の方にも参列してもらう葬儀「一般葬」と言います。

一方、家族や親せき以外は呼ばずに小さな規模で行う葬儀「家族葬」と呼びます。

以下の表は、日本全国40歳以上の2020年3月~2022年3月に喪主・喪主に準ずる立場を経験した男女1955人を対象にしたデータです。

2020年までは一般葬が約半数を占めていましたが、2022年は家族葬の割合が55.7%と家族葬を選ぶ人の割合が増えています。

「本当は一般葬にしたかったがやむを得ず家族葬にした」という人もおり、葬儀の在り方もまた、コロナ禍の影響を大きく受けています

葬儀の種類比較
(第5回お葬式に関する全国調査(2022年)行った葬儀の種類より引用)

「家族葬」と「一般葬」のメリット・デメリット

家族葬と一般葬のメリット・デメリットは、どのようなものなのでしょうか。

家族葬 一般葬
メリット
  • 会葬者の管理がしやすい
  • 一般葬より葬儀費用が抑えられる
  • 人数が多いので湿っぽくなりにくい、賑やか
  • 家族や親せき以外の人も故人とお別れができる
デメリット
  • 葬儀に出席したかった人から不満が出る可能性
  • 葬儀後、弔問に来る方の対応が大変になる可能性
  • 葬儀を手伝ってくれた方へのお礼、香典返しなど葬儀後のタスクが多い
  • 家族葬より葬儀費用がかかる

家族葬も一般葬もソフト面では一長一短ですが、ハード面、お金の面から見るとやはり家族葬の方が参列客が少ないため費用が抑えられます

【番外編】残された家族のために生前葬という選択

生きているうちにお世話になった方達に感謝の言葉を伝えたい、お別れの言葉を伝えたいという意思のもとに開く葬儀が生前葬です。

実質的には葬儀というよりも、お別れ会に近いものがあります。

死期を悟って開くこともあるようですが、人生の節目を迎えたのでお世話になった方達に感謝を伝えたいと開く方もいるようです。

遺言や相続に関することを、大勢の人が見ている中で発表しておくこともできます。

〈メリット〉
事前に周囲に伝えて理解してもらえたら、生前葬を行い実際に亡くなった後は直葬にしてもらうことが可能です。

また、賑やかな葬儀が良いという方は友達を呼んだり好きな音楽をかけたり、自分で計画して自由な内容にできる点が一番のメリットです。

〈デメリット〉
生前葬を行うこと自体に、抵抗を感じる家族や親せきがいる可能性がある点です。

生前葬を希望しているなら周囲の理解を得てからにしましょう

また、財産の相続や遺言などを発表することで家族への影響が大きそうな時は、事前に弁護士の方に相談するなど対策を練っておくことも大事です。

まずは自分の意志ではどうしたいのかを決めて、遺言の用意や話し合いなどをしておくと、いざという時に残された家族が困らないでしょう。

各種葬儀の費用はどれくらい?

以下の表は、先述した「第5回お葬式に関する全国調査」による、葬儀に関する平均費用の移り変わりを表したものです。

実際の葬儀の平均費用は、2020年の184.3万円から2022年は110.7万円に下がっています

葬儀費用の変化
(第5回お葬式に関する全国調査(2022年)行った葬儀の種類より引用)

葬儀費用は、基本料金・飲食費・香典返しなどの返礼品を合わせた総額としています。

感染拡大防止のため参列人数が減ったことで、このような結果になったと予測できます。

ただ、減ったとしても100万円を超える大きな金額を払えない場合、どうすれば良いのでしょうか。

葬儀費用が足りない場合はどうすればいい?<葬儀費用を抑えるために>

葬儀費用が足りない場合、どこかからお金を工面するのも良いですが、葬儀にかかる費用自体を抑えるのも方法の1つです。

① 一日葬

一日葬では、通夜を行わず告別式のみを執り行います

法律により亡くなった後24時間を過ぎないと、火葬できません。

病院では長時間安置することは出来ないため、病院で亡くなった方であれば葬儀社の安置室か自宅などに故人を運び、安置します。

その間に葬儀社と話し合い、告別式の段取りを決める流れです。

告別式から火葬、希望をすれば初七日法要までを終えて一日葬は終了になります。

金額は50万円~80万円位、葬儀社によって大きな幅がありますが、通常の一般葬に比べると通夜の分の費用が少なくなります。

昨今ではコロナ禍の影響で、一日葬を選択する人も増えています。

② 直葬・火葬式

お通夜や告別式などを一切行わず、自宅や病院から直接火葬場に遺体を運び弔う儀式のことを「直葬」または「火葬式」と言います。

家族など近しい人が集まり、最後のお別れのみ行うことができます。通夜や告別式のような規模の大きい式典にはなりませんが、一般的な葬儀に比べて費用がかかりません。

直葬の費用も幅があり、20万円~50万円位で葬儀社によって異なります。

葬儀費用が足りない場合はどうすればいい?<葬儀費用を借りる>

葬儀費用が足りない時、葬儀そのものの費用を抑える方法をお伝えしましたが、葬儀費用を借りる方法もあります。詳しく見ていきましょう。

① 親せきに借りる

借りられる方が近くにいるなら、一番早い方法は親せきに借りることです。納骨や法事など、葬儀後も会う可能性が高く返済もしやすいでしょう。

ただし、金の切れ目が縁の切れ目なので、返す日を必ず伝えた上で借りることが大切です。

② 葬祭扶助

葬祭扶助とは、生活保護受給者の方が亡くなった時に「検案・死体の運搬・火葬又は埋葬・納骨など葬祭のために必要なその他のもの」を行う最低限の金額を自治体が補助してくれる制度です。

基本的には喪主の方が申請を行います。喪主の方と亡くなった方の住所が異なる場合は、喪主(申請者)が住んでいる市区町村の役所に行く必要があります。

葬祭扶助を受ける条件は、以下のように生活保護法第18条で定められています。

左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。

一 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
二 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。

生活保護法(葬祭扶助)第十八条より引用

故人を扶養している人が居ない時か、故人が残した金品では火葬も出来ないという時に葬祭扶助の対象になります。

支給額は、大人206,000円以内で12歳以下164,800円以内と一般的に言われていますが、市区町村によって多少差があります。

正確な金額が知りたい方は、各自治体の「生活支援課」に問い合わせてみましょう。

③ 分割払い

葬儀費用は、必ずしも一度に全額支払わないといけない訳ではありません。

葬儀一式に関わる費用を一度立て替えてもらい、遺族が分割払いする「セレモニークレジット」という仕組みを取り入れている葬儀社もあります。

金利も低めのものが多いので、少額ずつコツコツ返していきたい方は分割払いがある葬儀社を選ぶと良いでしょう。

④葬儀ローン

また、各地方の労働金庫では、冠婚葬祭を対象にしたローン商品を設けていることが多いです。

例えば、中央労働金庫(中央ろうきん)の「ろうきん無担保フリーローン」は、最高500万円まで冠婚葬祭に必要な費用を借りることができます。

変動金利と固定金利が選べるようになっていて、変動年5.825%~年6.325%、固定年7.000%~年7.500%の低金利です。

関西地方の方なら、近畿労働金庫(近畿ろうきん)の「ろうきん無担保ローン「ライフエール」(多目的)」があります。

最高1,000万円借りることができ、金利は、固定金利のみで年2.7%~年3.2%の低金利です。

お住いの地区が管轄の労働金庫で「葬儀費用を借りたい」旨を相談すると、最適なプランを教えてくれるでしょう。

ただし、ろうきんのフリーローンは融資までに時間がかかることもあるので、葬儀社への支払い日までに間に合うか確認が必要です。

⑤ カードローン

現状働いていて毎月定期的な収入が入ってくるのであれば、カードローンで工面するという方法もあります。

消費者金融系カードローンの中には、条件付きで一定期間無利息になるサービスを行っている業者もあります。

葬儀の後すぐに返済できるなど「一瞬だけ借りたい」という時には、無利息期間サービスを行っている業者がおすすめです。

ただし貸金業法で総量規制というものが定められており、消費者金融系カードローンでは年収三分の一以上の金額を借りることはできません。

葬儀社の分割払いよりおそらく金利が上がる点もデメリットです。

いくら借りるのか、いつ返せるか事前に計画しておく必要があります。

カードローンで葬儀費用を払うには

葬儀を開くのに必要な費用の援助をどうしても受けられないという場合は、カードローンの利用を試してみるのもおすすめです。

カードローンには大きく分けると、銀行系カードローンと消費者金融系カードローンがあります。

みずほ銀行や三井住友銀行、三菱UFJ銀行などの銀行が展開しているカードローンが銀行系カードローン、個人向けの融資を中心に行っている業者がアコム、アイフル、レイクなどの消費者金融系カードローンです。

葬儀費用は、基本的には葬儀が終わってから1週間~10日程度で一括で支払いとなるケースが多いです。

大切な人が亡くなった直後に冷静な判断は難しいかもしれませんが、何社も一度に申し込むと審査に通りにくい場合があるので、申し込むのは一社にした方が無難でしょう。

申し込みから融資まで最短即日の業者もあるので、慌てずに葬儀社の見積もりを確認することが大切です。

無利息サービスを行っているカードローン

1)レイク

レイクは、初回借り入れの人に向けて「60日間利息0円」か「借入額のうち5万円まで180日間利息0円」の選べる無利息期間を設けています。

「60日間利息0円」は、WEBから申し込みをした方限定のサービスです。

2)アコム

アコムには、初めて借りる人向けの「30日間金利0円サービス」があります。

契約の翌日から30日間は金利0円で借りることができます。

3)アイフル

アイフルも、はじめての方へのお得なサービスとして「最大30日間利息0円サービス」があります。

通常のカードローンにあたる「キャッシングローン」、女性向けの「SuLaLi」、WEBからの申し込み限定で利用できる利用限度額100万円からの「ファーストプレミアム・カードローン」、以上3つの商品が無利息サービスの対象です。

故人の通帳をカードローン返済に利用する時は注意!

消費者金融系カードローンでお金を借りる時は利息が心配ですが、早々に返す目途がついているなら無利息サービスのある業者がおすすめです。

ただし、葬儀後に故人の通帳の中身を引き出して、カードローンの返済に充てようと考えている人は注意が必要です。

亡くなった方の銀行口座は凍結して遺産の対象になり、例外はありますが相続の手続きが終わるまでは現金を引き出すことができません。

相続人同士の話し合いも必要になるので、無利息期間中の返済は難しくなるため、故人の通帳は当てにしてはいけません。

葬儀費用が足りなくても、色々な方法がある

葬儀には多種多様なバリエーションがあり、どのような葬儀を開いて、どれくらいの人数を集めるかで金額が変わります。

もしも費用が出せないという方は、兄弟家族や親せきに頼ったり、葬儀費用を分割払いで支払える制度がある葬儀社を利用しましょう。

生活保護受給者である場合は、葬祭扶助によって火葬できるだけの最低金額を援助してもらうことも可能です。

どうやっても費用を出せないという場合は、カードローンなら即日もしくは数日中の融資が可能なので、取り急ぎ葬儀費用を払いたい人は選択肢の一つにしても良いでしょう。