ローンの申し込みやクレジットカードの審査、公的手続きなど、見込み年収が必要となる場面は多くあります。
本ページでは、この見込み年収について、徹底解説をしていきます。
見込み年収の計算方法
見込み年収は、1月1日以降の収入を足して働いた月数で割り、その金額に12(1年分の月数)を掛けて算出できます。
ボーナスを受け取った人は、その金額も最初に足しましょう。
ここでは、以下4人を例に見込み年収を計算していきます。
★例1 Aさん アルバイト 勤務1年目
★例2 Bさん 新卒社員 勤務1年目
★例3 Cさん 派遣社員 勤務1年目
★例4 Dさん 個人事業主 配達員 勤務1年目
ステップ❶ その年の1月~現時点での月収の合計÷それまでの月数、1か月あたりの平均収入算出
ステップ❷ ❶の平均月収で12か月働いたと仮定、平均収入×12することで、年間でもらえる金額の予定額を算出
ステップ❸ ❶の1か月あたりの平均収入×ボーナスの倍率をし、ボーナス給を算出
ステップ❹ ❷の年間基本給+❸のボーナス給をする →見込み年収
★例1 Aさん アルバイト 勤務1年目
- 現在を7月と仮定
- ボーナス無し
- 1月入社~現在も勤務中
<Aさんの月収>
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
給与 | 15万 | 10万 | 10万 | 7万 | 8万 | 4万 |
計算内訳 | |
一ヶ月の平均給与 | 9万円 |
推定年収 | 108万円 |
ボーナス | – |
Aさんの場合は1月~6月の平均給与が9万円となるので、推定年収は9(万円)×12(カ月)で108万円です。
アルバイトでボーナスがないため、推定年収に加算はなく108万円が見込み年収となります。
★例2 Bさん 新卒社員 勤務1年目
- 現在を8月と仮定
- ボーナスあり 年一回12月に支給 額は月収の1.5倍
- 4月入社~現在も勤務中
<Bさんの月収>
月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
給与 | 21万 | 21万 | 23万 | 23万 |
計算内訳 | |
一ヶ月の平均給与 | 22万円 |
推定年収 | 264万円 |
ボーナス | 33万円 |
Bさんの場合は4月~7月の平均給与が22万円となるので、推定年収は22×12で264万円です。
社員でボーナスがあるため、推定年収に33万円加算して、297万円が見込み年収となります。
★例3 Cさん 派遣社員 勤務1年目
-
-
- 現在を8月と仮定
- ボーナス無し
- 4月入社~現在も勤務中
-
<Cさんの月収>
月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
給与 | 15万 | 20万 | 21万 | 20万 |
計算内訳 | |
一ヶ月の平均給与 | 19万円 |
推定年収 | 228万円 |
ボーナス | ‐ |
Cさんの場合は4月~7月の平均給与が19万円となるので、推定年収は19×12で228万円です。
派遣社員でボーナスがないため、推定年収に加算はなく228万円が見込み年収となります。
★例4 Dさん 個人事業主 配達員 勤務1年目
-
-
- 現在を11月と仮定
- ボーナスなし
- インセンティブあり
- 6月入社~現在も勤務中
-
<Dさんの報酬>
月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
給与 | 28万 | 25万 | 27万 | 25万 | 30万 |
計算内訳 | |
一ヶ月の平均給与 | 27万円 |
推定年収 | 324万円 |
ボーナス | ‐ |
Dさんの場合は6月~10月の平均給与(報酬)が27万円となるので、推定年収は27×12で324万円です。
この時、月の報酬額はインセンティブを含みます。
個人事業主でボーナスがないため、推定年収に加算はなく324万円が見込み年収となります。
見込み年収とは
そもそも見込み年収とは、一般的には1年間(1月1日~12月31日)で手に入れられるであろう収入を、見込みという形で計算したものを指します。
例えば、1年以上同じ職場で勤めている人なら、見込み年収は昨年度の年収を参考にできます。
源泉徴収票の「支給額」欄に書かれた総支給額を、そのまま見込み年収として利用しましょう。
しかし、新社会人や中途採用の人など仕事をして1年未満の人は、昨年1年間の年収がまだないため、見込み年収には何を書けばいいのか迷ってしまいます。
よく分からないから適当に書いておけばいいのかな・・・と考える方も少なくありません。
しかし、新社会人や中途採用の人も、上記のように計算すれば、見込み年収をきちんと出すことができます。
年収と手取りの違い
よく、年収や手取りという言葉を目にしたり、耳にしたりする人は多いでしょう。
ただ、年収と手取りの違いについて正確に理解している人は少なく、2つの解釈が混合することもしばしばあります。
年収と手取りの定義をしっかり理解しておけば、公的手続きや転職の際に役立ちます。
年収
年収は、税金や社会保険料など支払うべきお金も含めた、会社からの総支給額を指します。
紛らわしいのは、通勤手当、経費などは含まれません。
ボーナスを含め、実際に自分が働き得た収入1年分が年収に該当するということになります。
なので、見込み年収も総支給額を表します。
見込み年収には、税金などが引かれる前の金額や、ボーナスを含めた収入を記載しましょう。
また、面接や書類等で年収を聞かれた場合は同様に、一般的には勤務先からの総支給額を意味しています。
理由としては、地域によって税金の制度が異なることや、国・地域別にそれぞれの手当などもあることから、総支給額でなければ比較が難しくなるからです。
手取り
手取りとは、収入から社会保険料や税金などを差し引いた金額のことで、最終的に自分の手元に残る分のお金、ともいえます。
- 厚生年金保険料
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳から64歳までの会社員)
- 雇用保険料
- 所得税
- 財形貯蓄積立金
- 社宅費 など
見込み年収の利用場所
では、実際見込み年収を利用するのは、どのような場所なのでしょうか。
年末調整
年末調整は、所得税に過不足がないか確認し調整を行うための仕組みのことを言います。
そもそも、所得税は会社の給料から天引きされています。
そして、その時点での所得税は、前年度の収入から概算された金額となっているのです。
よって、前年度と比較し仮に収入に変化があった場合、実際に支払っている金額と支払う義務のある金額に差異が生じる可能性があります。
年末調整は、この差異を出さないように調整するために行っています。
クレジットカードやカードローンの審査
クレジットカードやカードローンの申し込みの際には、見込み年収が必要になります。
見込み年収が必要となる理由
クレジットカードやカードローンへの申請の際、見込み年収は申込者が安定した収入を得ていることを証明するために必要です。
クレジットカードやカードローンは、利用者の代わりに一時的にお金を貸している「貸金業」です。
そのため、貸金業者はお金を建て替える上で、申込者に支払い能力がきちんとあるのか見定める必要があります。
このように、見込み年収は審査で重要なポイントとなっており、サービスの利用に対して十分だと見なされて初めて契約が完了するのです。
またカードローンには、「総量規制」という制度があります。
≪総量規制≫
総量規制とは、貸金業法の一部であり、カードローンの利用者が自分の身の丈以上に過度な借り入れをできないように定められた制度です。
具体的には、年収の3分の1を超える貸付けが原則禁止されています。
また、この年収の3分の1というのは、借り入れをする全ての総額であって、仮に複数の貸金業者と契約をしていても、全ての金額を合計して年収の3分の1に抑えなくてはなりません。
年収600万の人 →200万まで借り入れ可(A社から100万、B社から100万)
年収300万の人 →100万まで借り入れ可(A社から100万=B社からはもう借りられない)
この制度があることで利用者は過剰に借金をすることができなくなるため、多重債務の心配がありません。
そして年収、見込み年収ともに、カードローンの申し込みにおいて、総量規制に引っかかっていないかチェックされる基準になっているのです。
ここで見込み年収を見ることで、総量規定に則って利用者と貸出業者両方の面から適切な契約ができるようになっています。
見込み年収だけで借入できるおすすめカードローンは、アイフルです。
見込み年収を申告する時の注意点
一番重要なのは、「見込み年収の虚偽の申請はしない」ことです。
見込み年収は、多く見積もったりせず正しく申告しましょう。
審査する会社側には、同業種・同規模の年収統計があるため、審査に通りたい・たくさんお金を借りたいという理由で虚偽の年収で申請しても、怪しまれて嘘が発覚する可能性が大きくあります。
また、カードローンでは申し込む際に、希望金額次第で収入証明書が必要になります。
収入証明書を提出すれば、すぐにバレてしまうでしょう。
そして、虚偽の申請がばれてしまうと、審査に通らない可能性が高くなります。
仮に契約に至ったとしても、虚偽が発覚した時点で会社側は強制解約が可能です。
加えて、カードローンで見込み年収を本当の額より多く申請し、万が一通ってしまうと総量規制を超えた金額が借りられることもあるでしょう。
自分の身の丈以上、総量規制を超えた借り入れをすると自己破産に繋がる可能性もあります。
よって、見込み年収は正直に記入するようにしましょう。
まとめ
見込み年収について、覚えておきたいことは以下の4つです。
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- 見込み年収とは、1年間で稼げるであろう年収を想定して算出したもの
- 見込み年収は、今までの平均月収×12(1年間)+ボーナスのトータルで計算できる
- 見込み年収は、手取り金額ではない
- 虚偽の申請は行わず、正当な見込み収入を申告する
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見込み年収について正しく理解をすることは非常に重要です。
この機会に、見込み年収がどんなものであるかきちんと理解しておくとよいでしょう。
また、ローンの申し込みや公的手続きなど、見込み年収が利用される場所は多くあるので、計算方法は頭に入れておくと便利です。
そして、カードローンの契約の際には虚偽の申請は行わず、正しい見込み年収を申告するよう心掛けましょう。