答えて、応えて!FP
第043回 クレジットカードを不正に使用されないために
財布に一枚入れておけば、いつでも好きな時に買いものができるクレジットカードは、いまや生活に欠かせないものとなっています。しかし、その便利さゆえに、不正に使用される被害が後を絶ちません。生活の必需品であるクレジットカードで不快な思いをしないよう、不正使用をされないためのポイントを紹介します。
1.不正使用の被害状況
不正使用の内容にも傾向があるようです。かつては被害の半数がカードの偽造によるものでしたが、ここ数年は、偽造以外の手口による被害の割合が急速に高まっています。インターネットによるカード決済が浸透するに伴い、ネットからのカード情報の流出や盗難などが増えているのかも知れません。
全体被害額をみてみると、平成14年の291億円と比較すると、平成23年は約4分の1に減少しています。これは平成13年ごろからクレジットカードに導入されたICチップなどにより偽造が難しくなったことが功を奏していると言えるでしょう。
<億円>
合計被害額 | 偽造カード被害額(割合) | その他不正被害額(割合) | |
---|---|---|---|
平成14年 | 291.4 | 165.0(56.6%) | 126.4(43.4%) |
平成15年 | 271.8 | 164.4(60.5%) | 107.4(39.5%) |
平成16年 | 186.4 | 105.6(56.7%) | 80.8(43.3%) |
平成17年 | 150.4 | 83.4(55.5%) | 67.0(44.5%) |
平成18年 | 105.3 | 45.6(43.3%) | 59.7(56.7%) |
平成19年 | 91.8 | 39.1(42.6%) | 52.7(57.4%) |
平成20年 | 104.1 | 52.5(50.4%) | 51.6(49.6%) |
平成21年 | 101.6 | 49.2(48.4%) | 52.4(51.6%) |
平成22年 | 92.1 | 41.3(44.8%) | 50.8(55.2%) |
平成23年 | 78.1 | 25.8(33.0%) | 52.3(67.0%) |
<引用元:社団法人日本クレジット協会HPより>
とは言え、いまだに年間80億近い被害があるのも事実。カードの管理責任は契約者自身にあることを忘れずに、次にあげるポイントを知り自分のお金は自分で守りましょう。
2.不正使用を防ぐポイント
■サイン忘れていませんか?
クレジットカードで買い物する際、店の人に「サインをお願いします」と言われたことはありませんか?カードの裏面にサインが記されていないと、原則、加盟店でカードを利用した買い物ができないだけでなく、万が一紛失・盗難などで他人に不正使用された時に、損害賠償を受けることができません。新しいクレジットカードが届いたら、必ずすぐに自分でサインをしておきましょう。
■暗証番号をきちんと管理しましょう
ICチップが施されたクレジットカードでは、PINと呼ばれる4桁の暗証番号を入力して決済することができます。逆に言うと暗証番号を知られてしまうと簡単に他人が不正使用することができてしまいます。暗証番号を他人に知られたことによる被害は、原則損害賠償を受けることができません。簡単に知られてしまうような生年月日や電話番号、住所の一部などを暗証番号にすることは極力避けましょう。
■売上票の記載内容をきちんとチェック
カードを利用して買い物をした際に、売上票(サインを記入する紙)に記載されている商品内容と金額を、きちんとチェックしましょう。ICカード利用で暗証番号入力を求められる場合も、売上票の内容をきちんと確認した上で暗証番号を入力しましょう。
■放置しないこと
上着のポケットや鞄に入れたまま席をたった隙に、データだけ抜き取りまた元通りにするという手口の被害が増えているそうです。また電車内や駅のベンチなどで寝てしまうのも危険。クレジットカードの入った財布は肌身離さず管理するよう気を付けましょう。
■インターネットショッピング利用におけるポイント
・利用するホームページが安全であるか
個人情報を入力する画面のURLに注目。「https://」からスタートしていれば、SSLで暗号化された安全性の高い画面と言えます。
・信頼性の高いサイトかどうか(海外サイトの場合は特に注意)
・個人情報の取り扱いがずさんなショップでの利用は控える
以上、クレジットカードを不正利用されないポイントを見てまいりました。クレジットカード犯罪も年々、巧妙かつ悪質なものになっています。しかし自分のお金は自分で守らなければなりません。賢く使えばとても便利なクレジットカード。日頃から、十分な知識と細心の注意をもって利用することを心がけましょう。
この記事に関連するコンテンツ
この記事担当のFP
伊藤 亮太 いとう りょうた
2007年11月 スキラージャパン株式会社設立。取締役に就任。
東京スクールオブビジネス非常勤講師(ファイナンシャルプランニング)
ファイナンシャルプランナーとして活動中
伊藤 亮太 人気記事
- 第009回 クレジットカードを使って賢く節約する方法 ≪マイル編≫(2012年02月21日)
- 第013回 クレジットカードを使って賢く節約する方法 ≪ドライブ編≫(2012年03月01日)
- 第017回 クレジットカードを使って賢く節約する方法 ≪デパート編≫(2012年03月12日)